Dummy / Portishead

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[Dummy / Portishead] (1994)

 

 

陰鬱!暗然!ダウナー!

 

ポーティスヘッド。1991年にイギリスはブリストルで結成された音楽グループ。

歴史的にイギリスでも有数の港湾都市であったというブリストルは、労働者不足の緩和を目的として、1950年代より主にカリブ・インド諸国からの移民を多く受け入れていたそうです。そんな多様性溢れる街でダブ・ヒップホップ・エレクトロニクスなど、様々なジャンルにインスパイアされて生まれたグループが、そう、ポーティスヘッドなのでした。

(当人はこの分類を忌避するも)背景やルーツそしてこの後のムーブメントから見て、彼らは異論なくトリップ・ポップというジャンルにおける第一人者であり、僕自身も作曲を行う上で大いに参考にさせてもらっているグループでもあります。

 

そんなポーティスヘッドのメジャーファーストアルバムであり、かつ最高傑作とも言われるのが1994年発表の「ダミー」。晴れた日の公園で聴いていても、目を瞑れば真夜中の路地裏を独りで歩いているような気分に!それくらい全編を通してダウナーな雰囲気を持つ一方で、全英2位・全世界で350万枚(!)を売り上げるような商業的成功もしているアルバムでもあるとは驚き。オアシス、スウェード、ブラー等々ブリッド・ポップが権勢を誇っていたはずの90年代音楽シーンに、このアルバムがトリプルミリオン…。明暗のどちらかで言えば"暗"のイメージがあるであろうイギリスとはいえ、数字に表されてしまうと改めてびっくりしてしまいます。イギリス行きたくなってきました

 

無意識に頭でリズムを取ってしまうような、ダブやヒップホップの影響は1曲目の"Mysterons"から強く感じることができます。そして甘ったるくもメランコリーな声で「Nobody loves me」と歌い上げる2曲目"Sour Times"、ブレイク前のギターが何ともお洒落な3曲目"Strangers" etc… 1曲々々を取り上げてはキリがないですが、とにかくどの曲も暗い、美しい、カッコいい。1stアルバムでここまで完璧な曲を作れるなんて…初めて聴いた時は本当にびっくりしました。

そしてなによりすごいのがそれぞれの曲が強烈なキャラを持つ中で、1つの綺麗なアルバムを作り上げたということ。音楽に限らず、特定のものに強く思い入れないというのが僕の人生(?)におけるモットーなのですが、このアルバムの前にはヘビーローテーションするより他ありませんでした。

 

 

 

これは自分の中でのポーティスヘッド・ブームが過ぎてから知ったことなのですが、この「ダミー」というアルバムは"スパイ映画のサウンドトラック"というテーマのもと制作されたなんだそうです(有名な話らしいのですが、知らなかった…)  先述した「それぞれの曲の強烈なキャラ」というのは、普段聴く”音楽好きのための音楽”とは違う、メインストリームから一歩引いた、非常に映画音楽的な世界観から生み出されたものなんだと理解。溜飲が下がりましたm(_ _)m

 

 

 

 

 

 

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